■錦帯橋と世界文化遺産
■最近錦帯橋の世界文化遺産化への運動が盛んになっている。これは実に喜ばしい。
■二十年以上前から錦帯橋は世界の文化遺産だと唱えていた私にとってまさに期は熟してきた感がある。
■ところで、錦帯橋は創建当時のものが何も残っていないので、価値がないという人がいたが、これも最近は、技術の伝承をしてきており、その伝承も文化遺産だと言う認識が芽生えつつある。これまた喜ばしいことである。
■しかし、伝承の中身が重要な問題となってくることにまだ多くの人々は気づいていない。
■つい最近も平成の錦帯橋架替に従事した大工さんが自分の理解の範囲で錦帯橋の図面を書いたと説明していた。時代の流れでCADを急遽勉強し書いたそうである。
■しかし、現場では頑固親父の大工がその図面を無視し勝手に施工したところもあると紹介された。
■彼らの大工工事のみならず金属工事、石工事等々の総監督をした錦帯橋架替工事の元受である建築協同組合の一員として当時つぶさに監督した経験を持つ私にとって、その発言こそが伝承の中に潜む危険性を象徴するものと確信をしている。
■昔の図面とそのとき架かっている錦帯橋を見てそのコピーを作り自分の能力の範囲だけで伝承と言ってきている実態をくしくも今回発表されたので、今後の展開はむしろ簡単になってきた。
■確かに、コピーも重大なことであるが、とりわけアーチ部については、児玉九郎右衛門が設計したその基本コンセプトを理解せずして盲目的にコピーを繰り返しても、そこには矛盾が残るばかりである。
■このあたりで関係者は最近の錦帯橋の研究に目をむけるべきである。
PS
■私も、今回の架替の現場で見るに見かねて注意をすると『わりゃーだまっとれ!』と頑固親父から言われたが、先の図面を書いた人の説明で納得である。
■ただ、彼らも自分たちが理解できた過ちに対してはその後の二期工事で修正してくれたので私の指示に従ってくれたようである。
■今後まだまだ理解して欲しいことが沢山あるが、これを無視しては決して錦帯橋の世界文化遺産化は実現できない。
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