2010年11月22日月曜日

錦帯橋

錦帯橋


■最近錦帯橋の世界遺産化への運動が盛んになっている。

■二十数年以上前から錦帯橋は世界遺産だと唱えていた私にとってまさに期は熟してきた感がある。

■ところで、錦帯橋は創建当時のものが何も残っていないので、価値がないという人がいた。

■しかし、最近は、技術の伝承も文化遺産だと言う認識が芽生えつつある。

■ただ伝承の実態が重要な問題である。

■以前平成の錦帯橋架替に従事した大工さんが自分の理解の範囲で錦帯橋の図面を書いたと説明していた。

■ただ、現場では頑固親父の大工がその図面を無視し勝手に施工したところもあるとのことである。

■平成の錦帯橋架替工事の大工工事のみならず金属工事、石工事等々の総監督をしたのは元請である岩国建築協同組合である。

■その組合の一員として当時監督した経験を持つ私には、今回の伝承の実態を検証する責任の一端がある。

■昔の錦帯橋の図面とそのとき架かっている錦帯橋を見て自分の能力の範囲だけで独断的に施工図を書く。

■はたしてこれが伝承と言えるのか・・・。

■たとえば、錦帯橋のアーチ部については、児玉九郎右衛門が設計したその基本コンセプトを理解せずして盲目的にコピーを繰り返しても、そこには矛盾が残るばかりである。

■先に示した平成の大工は錦帯橋のアーチは円弧で出来ていると書き残した。残念である。創建以来そのような痕跡は全くない。

■最近錦帯橋にかかわりのある大学教授が錦帯橋のアーチ形状はカテナリーだとテレビで断言していた。

■私の錦帯橋のアーチ形状に関する理論がかなり浸透した証と喜んでいる。


錦帯橋
 
       模倣と伝承は異なるものである。

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